メールの送受信

1.メールの送受信について

はじめに
ホテルでメールを送受信する際のトラブルが多く発生していることと思います。最初に断っておきますが、ホテルのシステムによる不具合ということは考えにくく、モバイル環境全体の問題であることと認識してください。

メールの送受信のしくみについて
メールの送受信にはそれぞれサーバーが利用されています。通常送信には、「SMTP」サーバー、受信には「POP」サーバーを使用します。したがって送信のみ出来ない場合(たぶんこれが最も多い)と送受信が出来ない場合に分類できます。

「スパムメール」とプロバイダの対策について
スパムメーとはダイレクトメールなど大量の迷惑メールを一度に送信することを言います。サーバーに対する負荷が大きいのと被害者からの苦情を防ぐためにも各プロバイダの対策は一層強化されており、モバイル環境でのサービス低下が懸念されています。

メールの送信のみが出来ない場合の対策
各プロバイダがスパムメールをブロックしながらサービスを低下させないために様々な対策を講じていますが、現在ポピュラーなものとしてPOP before SMTP方式が採用されています。一度POPサーバーで認証した後で(時間制限あり)同一IPアドレスからのメール送信を認める方法です。簡単に言えば、メールを一度受信した後ならメールを送信できる方法を言います。しかしながら、全てのプロバイダがこの方式を採用している訳ではありません。

ダイヤルアップ接続とLAN接続について
実は、ダイヤルアップ接続ではあまりこのようなことを意識する必要がありません。というのも各プロバイダのアクセスポイントで割付られるIPアドレスは、自宅等で利用しているものとなんら違いがないからです。接続のたびにパスワードで認証を行っているので安心してプロバイダもSMTPサーバーの利用を許可しています。LAN接続については、ダイヤルアップのような認証のスタイルは出来ません。勿論、一般家庭では、PPPoEという認証のスタイルをとっていますが、これはデフォルトゲートウェイ(ルーター)に対してのものなので1対1の接続(直接インターネットに接続している)場合以外は必要ありません。したがってホテルの客室等でプロバイダがアカウントとパスワードを認証することは不可能であると言えます。そこで登場したのが上記のような「POP before SMTP」と理解してください。

VPNについて
最近はVPN(バーチャル・プライベート・ネットワーク)経由のメールの送受信というのに悩まされています。おそらく多数のホテルが抱えている問題のひとつがこの「VPN」でしょう。どうしてもインターネット接続を共有した環境ではファイアーウォールの設定とVPNが利用している暗号化(IPSec)の問題が競合してしまいます。インターネットに直接接続している場合や固定のアドレス(プライベートでも)が割り付けられている場合は問題ありません(社内ネットワーク等)。また、VPNもマイクロソフト標準のものであれば対応できる場合もありますが、セキュリティの関係上一般的なVPNでは利用されていないようです。

送信だけでなく受信も出来ない場合について
ここまでの説明で理解してもらえると思いますが、受信についてはPOP認証(メールアカウントとパスワード)を行いますのでホテルだからメールが受信できない状況というのは通常考えられません。この場合はインターネット自体に接続出来ていないと考えられます。接続に関してはそれぞれのホテルのマニュアル等を参照し、再設定を行ってください。どうしても出来ない場合は、ダイヤルアップ(ソルート等をご利用ください)で接続してみてください。ただし、最近の傾向としてモデムを標準で装備していないパソコンがあるので注意が必要です。

ホテルでのメール送受信についての解決策について
お待たせいたしました(笑)。お客様はいつでもホテル側に解決策を求めてきます。これまでの説明と重複する面もあります下記に解決方法の手順を記載しておきます。

LAN接続の場合
@送信したいメールを事前に作成しておきます(ホテルに苦情が入った時点で作成済みと思われます(笑))
Aメールをいったん全て受信する(受信済みの場合は保存して一度アプリケーションを閉じてから再度開きます)
Bその後速やかにメールを送信します。(15分以内というプロバイダが多いようです)

送信できなかった場合(基本的には、ホテルの問題ではありませんが納得してもらえないと思います)そこでここからは代案となります。(ご了承ください)選択肢を下記からお客様に選んでもらいましょう。

@WEBメール(無料)の利用(MSNやYahooなどのメールサービス)
Aダイヤルアップ接続(通話料金が掛かります)
Bロビー等で無線LANのアクセスポイントがあれば利用可能(NTTホットスポットの場合24時間500円)
※Bについては非現実的(メールの為だけには)ですが、基本的に1対1の通信であるのでメールの送信に対する制限もホテル内のシステムよりは理論上接続の可能性が高いと思います。
CプリントアウトしてFAX(笑)  本当にどうしようもないときによく使います

私の場合は、もともとハウスキーパー(現在もですが)なので専門的な知識はございません。私のホテルに高速インターネットが導入されてから、「お客様からインターネット出来ない」とか「メールが送れない」などの苦情が多発している状況でエンジニアも常駐していない状況でして・・・。
思い起こせば最初はこのような質問に対しても「どうしてでしょうかねぇ」とか「ごめんなさ〜い」と謝ってばかりでした。(笑)

その後少しレベルアップして「ダイヤルアップでやってみてください」「WEBメールで送ってみては?」など一つ覚えの知識を駆使して対応していました。
現在も提案としてはレベルは変わっていないのですが・・・。しかし、何故出来ないのかといった質問には答えられるようになってきたなぁと実感しています。
最近ではインターネットでのトラブルがあると「どれどれ・・・」と楽しみながら対応しています。出来ないこともまだまだ多いのですが、困難があればあるほど嬉しくなってしまいます。お客様に対して、解決策を提示できたときには喜んでもらえたり、外国人の場合は100%握手されます。といったわけでサービスの一環としてもインターネットに対する知識の重要性を認識しています。

ローカルSMTPサーバー「メロン」の紹介

ホテルでのインターネット接続ガイド「HKOホテル」